「壊れないエキスパンションジョイント」を
目指し続けてきたあゆみ

人と建物を
守り続けるために

日本で唯一のエキスパンションジョイント専門メーカーとして、
人の命を守り抜く、より良い製品づくりを続けていきます。

エキスパンションジョイントの始まり

エキスパンションジョイント(以下、EXP.J)は、1970年代に欧米で考案されました。欧米では地震がほとんどないため、その主な目的はコンクリート同士の熱延びや収縮によるクラックを防ぐことでした。建物の一部に1インチ(約25mm)程度のすき間を設けて、金属カバーを被せるだけのシンプルな製品がほとんどでした。その後、日本にもEXP.Jが導入されはじめましたが同様の製品が大半でした。

世界初 地震に対応する3次元可動製品の開発

当社は日本が世界有数の地震国である地域特性を考慮して、EXP.Jにおいても地震のたびに壊れてはならないという基本理念を掲げました。そして、世界で初めて3次元に可動するEXP.Jを開発することに成功しました。また、長期的な耐久性を高めるため、外装部の素材は当初からアルミ材ではなく、ステンレス材を使うことにこだわりつづけています。

これらは、「パラEX-U」というシリーズ名でスタンダード製品として、今でも長きに渡ってご愛顧いただいています。

宮城沖地震が発生

昭和53年(1978年)6月12日、17時14分、マグニチュード7.4(震度5)の地震が仙台市を襲いました。気象庁により「1978年宮城県沖地震」と命名されたこの地震では、現在の仙台市域(旧泉市・旧宮城町・旧秋保町の区域を含む)で、死者16人、重軽傷者10,119人、住家の全半壊が4,385戸、一部損壊が86,010戸という多大な被害が生じました。この地震は、当時の人口50万人以上の都市が初めて経験した都市型地震の典型といわれました。
(仙台市役所ホームページからの引用)

活動拠点の拡大と新本社屋の建設

地震被害の影響もあり、EXP.Jの必要性が日本全国にひろがりました。当社も東京・大阪に活動拠点広げ、新たな本社屋を構えてお客様のご要望により多く応える体制を整えました。以後3年間で第2,3,5,6工場も建設し、生産体制も大幅に拡充させました。

新耐震基準の施行

宮城沖地震の教訓によって、1981年6月から新耐震基準が施行されました。新基準は「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる(安全を確保する)」という2020年の現在でも基準とされている耐震基準を義務付ける改正が行われました。

EXP.Jもこれまで以上に建物の揺れを考慮し、接続部は高さの1/100のクリアランスを確保するという基準が盛り込まれました。これに伴ってEXP.Jは、大可動に対応する製品が必要になりました。

大可動対応製品の
基礎技術開発に成功

新耐震基準を満たす大可動製品は、これまでよりも耐荷重、耐風圧、防水などの課題を解決しなければなりません。それに加えて、できる限り設置幅を小さくしたいというご要望も数多くいただきました。それらを全て満たす機構を試行錯誤の上、開発したのが中心維持装置(複数パネルを均等に可動させる技術)です。
この基礎技術は現在の±1500ミリ可動製品にも使われており、当社にとって大きなイノベーションの起点となりました。この技術は日本だけでなくアメリカでも特許を取得しています。

大可動技術の進化と免震物件第一号

その後もEXP.Jは、より大きく動き、より小さく納まることを求められました。当社は複数パネルを中心維持装置で支える技術をより進化させ、新たにインスパイアという製品を開発しました。この製品は、日本で最も台風の影響が激しいと言われている種子島のJAXAロケットセンターでも採用されています。そして、今にいたるまでノークレームで、メンテナンスフリーを実現しています。

また、この年に当社は初の免震物件を宮城県で施工しました。今後もEXP.Jの大型化が進むことを想定して、大型製品群は「ビルテック」シリーズとして従来品とは異なるブランド名を名付けました。これらは、現在の主流製品として皆様にご利用いただいています。

※外壁インスパイア(左)、JAXAロケットセンター(右) 画像提供:JAXA

兵庫県南部地震が発生

都市部の直下型地震としては過去最大クラスの地震は、建物や人命に甚大な被害をもたらしました。これらは建築業界において非常に大きな転換点となり、日本ではより安全な免震構造が強く求められるようになりました。EXP.Jも、可動性能を大きくするだけでなく、安全性、耐久性なども強く求められるようになりました。

EXP.J専門メーカーにシフトし、
業界に先駆け振動台試験を開始

免震建築の拡大にともなって、当社は1996年にエキスパンションジョイントに特化した専門メーカーにシフトしました。そして、さらなる大地震に対応することを検証するため、業界に先駆けて大手ゼネコンの技術研究所にて実物試験体による振動台試験を開始しました。今でこそ振動台試験は珍しくはありませんが、この当時に免震建物の応答波や360度の円運動を模した正弦波による性能確認試験を実施するメーカーは、ほとんどありませんでした。

東京オフィスに実物大可動
EXP.Jのショールーム開設

当社は1980年代から可動検証された製品だけを納入して参りましたが、直接お客様にご確認頂く機会をつくれないことが大きな課題でした。そこで2000年に建設した東京オフィス(東京都中央区)のショールームに実物大の可動試験体を設置して、多くのお客様にご覧頂けるように致しました。その後はさらに本社工場(三重県桑名市)にも試験体を増設して複数の製品をご覧頂けるように対応しました。

また、この頃から日本免震構造協会の技術委員を拝命し、メーカーの立場で免震構造におけるEXP.Jの重要性と注意点をお伝えする機会を頂きました。(2001年に発刊された「免震建物の建築・設備標準」の執筆に参画)

※東京オフィス(左)、本社試験体(右)

東北地方太平洋沖地震が発生

多くの津波被害とともに免震EXP.Jも全体の3割以上が損傷したという記事が全国紙で報道されました。一方で、極めて軽微な損傷ですんだEXP.Jも存在しており、各メーカーの品質、性能、思想の違いが浮き彫りになりました。

EXP.Jガイドライン発刊とEディフェンスの耐久試験

3.11で免震EXP.Jが数多く損傷したことで日本免震構造協会は、二度と同じ過ちが起こらないように業界の指針となるEXP.Jのガイドラインを策定しました。私たちも微力ながら技術委員として参画し、事前検証をしないメーカーはもはやメーカーではないというメッセージを強く発信しました。

翌年の2013年には防災科学技術研究所のEディフェンスにて実施された公開試験にもEXP.Jメーカーとして参画させていただきました。振動台上に4階建ての免震建物を実際に設置し、3.11の1.4倍の地震波をかける試験でしたが、極めて大きな負荷であっても当社製品が損傷しないことが確認できました。

本社で実物可動試験の専用施設が完成

これまで各所に散らばっていた20種類以上の試験体を全て一箇所に集め、お客様に御覧いただける専用施設を完成させました。ご来場いただくお客様は年々増え続けており、過去20年間で累計2000名以上の方にご覧頂いています。問題解決で悩まれているお客様のために、常に最新の試験体に入れ替えてご案内しています。

建主様のオーダーにこたえる会社を目指す

これからの建物は、オーナーやユーザーである建主様が耐用年数や製品のグレードを選ぶ時代になりつつあると考えています。曖昧にされてきたEXP.Jの基準を建主様が理解し、オーダーすることで、未然に損失を防ぐことはとても望ましい姿と思います。我々専門メーカーは、そのオーダーに対して期待以上の価値を提供することが使命だと考えています。それを果たすために、これからも謙虚に日々研鑽し続けて参ります。

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